# 認知症ケア専門士とは?受験資格・取り方・更新を解説
「認知症の利用者さんへの関わり方に、これでいいのか毎日迷う」「もっと自信をもってケアがしたい」——そんな思いから「認知症ケア専門士」と検索して、このページにたどり着いた方も多いと思います。
その気持ちは、とても自然なものです。認知症のケアには決まった正解が少なく、経験を積んだ人でも日々悩みます。だからこそ、専門性を学び直せる資格に関心を持つ方が増えています。
この記事では、認知症ケア専門士がどんな資格なのかを、はじめての方にもわかるようにやさしく解説します。受験資格や試験、取るメリット、更新のことまでまとめました。読み終わるころには、「自分が受けるべきかどうか」がはっきりするはずです。

認知症ケア専門士って、取ると何かいいことあるの?どんな資格?

認知症ケアの専門性を示せる資格です。受け方から更新まで、やさしく整理しますね。
まず結論:学会が認定する「民間資格」です
最初に大事なことをお伝えします。
認知症ケア専門士は、国家資格ではなく「民間資格」です。 民間資格とは、国ではなく団体などが独自に認定する資格のことです。この資格は、日本認知症ケア学会という学術団体が認定しています。
そのうえで、押さえておきたい要点は次の3つです。
- 認知症ケアの「専門性」を示す資格です。持っていると、認知症への理解と実践力の証明になります
- 受験には、認知症ケアの実務経験の目安があります。無資格・未経験からいきなりは受けにくい資格です
- 「更新制」です。 一度取れば一生ものではなく、数年ごとの更新が必要です
つまり、この資格は「認知症ケアをもっと深めたい」という現場の人に向いた資格です。まずは全体像を、順番に見ていきましょう。
認知症ケア専門士って、どんな資格?
ここからは、資格の中身をくわしく説明します。むずかしい言葉は、そのつどかんたんに言い換えます。
「民間資格」ってどういうこと?
世の中の資格は、大きく2つに分けられます。
ひとつは国家資格です。国が法律で定めた資格で、介護福祉士や看護師がこれにあたります。もうひとつが民間資格です。会社や団体が独自につくる資格です。
認知症ケア専門士は後者の民間資格です。だからといって「価値が低い」わけではありません。認知症ケアの分野では、広く知られた資格のひとつです。
大切なのは、国家資格のような法律上の独占業務はないという点です。「この資格がないとこの仕事ができない」というものではありません。
- 国家資格:法律で定められ、独占業務があるものも多い(例:介護福祉士)
- 民間資格:団体が認定する。認知症ケア専門士はこちら
介護の資格全体の位置づけを知りたい方もいるでしょう。資格の種類をまとめた記事もあわせてどうぞ。
認知症ケア専門士でできること・示せること
「独占業務がないなら、意味がないの?」と思うかもしれません。そんなことはありません。
この資格が示すのは、認知症ケアについて体系的に学び、実践してきたという証明です。名刺やプロフィールに書ける、目に見える専門性です。
たとえば、次のような場面で力になります。
- 認知症の利用者さんへの対応で、根拠をもって判断しやすくなる
- 施設内で「認知症ケアにくわしい人」として頼られる
- 研修や勉強会で、後輩に説明する立場になれる
日々の対応そのものに悩んでいる方もいると思います。認知症の方への接し方をまとめた記事も参考にしてください。資格の勉強と現場の工夫は、両輪で効いてきます。
上位の「認知症ケア上級専門士」もある
認知症ケア専門士には、さらに上のステップもあります。
「認知症ケア上級専門士」という上位の資格です。専門士を取ったあとに、一定の要件を満たすと挑戦できる仕組みになっています。
いきなり上級を目指す必要はありません。まずは専門士から、と考えておけば十分です。上級の要件は年によって変わることがあるので、詳細は主催団体の最新要項で確認してください。
公的な認知症研修(基礎・実践者)との違い
ここは、多くの方が混乱しやすいところです。ていねいに整理します。
認知症に関する学びには、認知症ケア専門士とは別に、国の制度による研修があります。代表的なのが次の2つです。
認知症介護基礎研修
これは、介護の現場で働くうえでの「入り口」の研修です。認知症ケアの基本を、短い時間で学びます。
近年は、介護に関わる多くの職員に受講が求められるようになっています。いわば、認知症ケアの土台づくりの研修です。
くわしくは、認知症介護基礎研修の記事で解説しています。
認知症介護実践者研修
基礎研修の次のステップにあたる研修です。認知症ケアをより実践的に学びます。
数日間かけて講義と演習を受け、現場での実践も組み込まれます。基礎研修より一段深い内容です。
こちらは実践者研修の記事でくわしく紹介しています。
認知症ケア専門士との違いを表で
では、これらと認知症ケア専門士は何が違うのでしょうか。表にまとめます。
| 認知症介護基礎研修・実践者研修 | 認知症ケア専門士 | |
|---|---|---|
| だれが認定 | 国(都道府県などが実施) | 学会(民間) |
| 種類 | 公的な研修 | 民間資格 |
| 学び方 | 講義・演習を受講する | 自分で勉強し、試験を受ける |
| ゴール | 研修を修了する | 試験に合格する |
| 更新 | 制度による | あり(数年ごと) |
かんたんに言うと、研修は「受けて修了するもの」、専門士は「勉強して試験に受かるもの」です。
どちらが上・下ということではありません。国の研修で土台をつくり、専門士で専門性をさらに証明する——そんな組み合わせ方が自然です。
受験資格の目安(実務経験)
次に、いちばん気になる受験資格を説明します。
認知症ケア専門士を受けるには、認知症ケアの実務経験が一定期間必要とされています。目安として、過去の一定期間内に、通算でおおむね3年程度の経験が求められる形が案内されています。
ただし、この年数や数え方は、変わることがあります。ここで大切なのは、次の点です。
受験資格の実務経験の年数や条件は、必ず主催団体の最新の要項で確認してください。 年度によって細かい条件が変わることがあるためです。
- 実務経験の目安:過去の一定期間内に、通算でおおむね3年程度
- 資格の有無:無資格でも、実務経験の条件を満たせば受けられる形が基本
- 注意:正確な条件は年度で変わるので、公式の要項で必ず確認を
たとえば「働き始めてまだ1年」という方は、いま受験資格を満たしていない可能性があります。その場合は、先に基礎研修や実践者研修で学びながら、経験を積むのがよいでしょう。
試験の流れと難易度の傾向
試験がどう進むのかを見ていきます。イメージがつかめると、不安がやわらぎます。
認知症ケア専門士の試験は、大きく2段階に分かれる形が一般的です。
第1次試験(筆記)
まず、筆記の試験があります。マークシート方式で、認知症ケアに関する知識が問われます。
出題は、認知症の基礎知識やケアの考え方など、複数の分野に分かれています。はば広い知識が必要になる試験です。
分野ごとに合否が判定される形もあり、一度に全部そろえる必要がない年もあります。詳細な仕組みは、その年の要項で確認してください。
第2次試験(論述・面接など)
第1次を通過すると、次のステップに進みます。論述や面接など、実践的な力をみる試験です。
「知識があるか」だけでなく、「現場でどう考え、どう動くか」が問われます。自分の実践をふり返る力が試されます。
難易度の傾向
難易度について、はっきりした合格率の数字はここでは断定しません。年によって変わるためです。
ただ、傾向として言えることがあります。しっかり準備すれば十分にねらえる一方、無勉強で受かるほど甘くはない、という位置づけです。
- はば広い分野から出るので、直前の一夜づけは通用しにくい
- 現場経験があると、内容が頭に入りやすい
- 公式のテキストや問題集で、こつこつ準備するのが王道
正確な合格率や試験の最新の形式は、主催団体の公式発表で確認してください。ここでは「準備しだいで受かる資格」とだけ覚えておけば大丈夫です。
認知症ケア専門士の取り方(4ステップ)
ここでは、取得までの流れをステップに分けて説明します。全体像がわかると、動きやすくなります。
ステップ1:受験資格を満たしているか確認する
まず、自分が受験資格の条件を満たすかを確かめます。実務経験の年数が足りているかがポイントです。
条件は年度で変わることがあります。主催団体の公式サイトで、最新の要項を必ず確認しましょう。
ステップ2:公式テキストで勉強する
次に、公式のテキストや問題集で勉強します。試験は複数の分野から出るため、はば広く学ぶことが大切です。
つまずきやすいのが「範囲の広さ」です。 直前にまとめてやろうとすると間に合いません。数か月前から少しずつ進めるのがおすすめです。
ステップ3:申し込み・受験する
受付期間に申し込み、試験を受けます。第1次(筆記)を通過すると、第2次に進む流れが一般的です。
申し込みには期限があります。「気づいたら受付が終わっていた」を防ぐため、早めに日程を確認しておきましょう。
ステップ4:合格後の登録手続きをする
合格したら、認定の登録手続きをします。ここまで済んで、はじめて「認知症ケア専門士」を名乗れます。
- ステップ1:受験資格の確認(実務経験の目安)
- ステップ2:公式テキストで数か月かけて勉強
- ステップ3:申し込み・受験(筆記→実践的な試験)
- ステップ4:合格後の登録手続き
費用の目安(受験料・更新料)
お金のことも、気になるところだと思います。正直にお伝えします。
認知症ケア専門士には、受験のときの費用と、更新のときの費用がかかります。金額は年度によって変わることがあります。
- 受験にかかる費用:分野の数などによって変わる
- 登録にかかる費用:合格後の手続きで必要
- 更新にかかる費用:更新のたびに必要
具体的な金額は、必ず主催団体の最新の要項で確認してください。 ここで金額を断定すると、古い情報になってしまうためです。
「思ったより費用がかかった」とならないよう、事前の確認が大切です。受験を決める前に、受験料・登録料・更新料の合計をざっと見積もっておきましょう。
認知症ケア専門士を取る3つのメリット
「時間もお金もかかるのに、取る意味はある?」——そう感じる方へ、メリットを整理します。
メリット1:専門性が「見える形」になる
いちばんのメリットは、認知症ケアの専門性を証明できることです。
日々の努力は、ふだんは目に見えません。この資格は、その努力を「肩書き」という形にしてくれます。
たとえば施設内で、認知症ケアの相談役を任されるきっかけになることもあります。
メリット2:職場での評価につながることがある
資格が、職場での評価にプラスに働くことがあります。
ただし、給料に直接ひびくかどうかは、職場によって差があります。資格手当がつく所もあれば、そうでない所もあります。
「取れば必ず給料が上がる」とは言えません。そこは正直にお伝えしておきます。まずは自分の職場の制度を確認してみてください。
メリット3:自分の自信になる
見落とされがちですが、これが大きいメリットです。
体系的に学ぶと、これまでの自分のケアに「根拠」が加わります。「なんとなく」ではなく「こういう理由で」と説明できるようになります。
その自信は、利用者さんへの落ち着いた対応にもつながります。学びは、あなた自身を守る力にもなるのです。
さらにキャリアを広げたい方もいるでしょう。認定介護福祉士のような上位のステップもあります。認知症ケア専門士は、その途中の心強い一枚になります。
現場のリアル:取得した先輩のモデルケース
イメージがわきやすいように、ひとつのモデルケースを紹介します。
特養で7年働くBさん(30代)の例です。認知症の利用者さんへの対応に悩み、実践者研修を受けたあと、専門士に挑戦しました。
Bさんは、仕事のあとに毎日30分ずつテキストを読み進めました。数か月かけて準備し、無事に合格できました。
変わったのは、資格そのものより「考え方」だったといいます。「なぜこの対応をするのか」を、根拠をもって言えるようになりました。
いまは、後輩から認知症ケアの相談を受ける立場です。「学び直してよかった」と感じているそうです。
もちろん、これはあくまで一例です。人によって合う勉強法や活かし方は違います。それでも「学びが自信になる」流れは、多くの人に共通しています。
「更新制」であることを忘れずに
最後に、意外と見落とされやすい大切なポイントです。
認知症ケア専門士は、一度取れば一生そのまま、という資格ではありません。 数年ごとに更新が必要な「更新制」の資格です。
更新の目安は、おおむね5年ごととされています。更新には、学会の活動への参加などで一定の要件を満たす必要があります。
- 更新の期間の目安:おおむね5年ごと
- 更新の条件:学会参加など、一定の要件を満たす
- 注意:更新の期間・条件・費用は変わることがあるので、公式要項で確認を
「うっかり更新を忘れて、資格が失効した」という声もあります。取ったあとは、更新の時期を手帳やスマホに登録しておくと安心です。
更新の期間や必要な費用は、年度によって変わることがあります。取得を考える段階で、最新の要項に目を通しておきましょう。
まとめ:まずは自分が受験資格を満たすか確認しよう
最後に、この記事の要点をまとめます。
- 認知症ケア専門士は、学会が認定する民間資格。認知症ケアの専門性を示せる
- 受験には実務経験の目安がある。年数や条件は公式要項で必ず確認を
- 試験は筆記と実践的な試験の2段階。準備すればねらえる難易度
- 更新制(おおむね5年ごと)。取ったあとの更新も忘れずに
認知症のケアに正解はなく、だれもが日々迷いながら働いています。その迷いに向き合ってきたあなたには、この資格を学ぶ土台がすでにあります。
まずは、いまの自分が受験資格を満たしているかを、公式の要項で確認するところから始めてみてください。学びの一歩は、きっと明日の現場を少し軽くしてくれます。
よくある質問
- 認知症ケア専門士は国家資格ですか?
-
いいえ、国家資格ではなく民間資格です。日本認知症ケア学会という団体が認定しています。国家資格のような独占業務はありませんが、認知症ケアの専門性を示す資格として広く知られています。介護福祉士のような国家資格とは種類が違う、と覚えておくとよいでしょう。
- 無資格でも受験できますか?
-
実務経験の条件を満たせば、無資格でも受けられる形が基本です。認知症ケアの実務経験が、目安として過去の一定期間内に通算でおおむね3年程度求められます。ただし年数や条件は変わることがあるので、必ず主催団体の最新要項で確認してください。
- 認知症介護実践者研修とどちらを先に取るべきですか?
-
決まった順番はありませんが、まず国の研修で土台をつくる流れが自然です。認知症介護基礎研修や実践者研修で学びながら実務経験を積み、条件がそろってから専門士に挑戦する方が多いです。研修は「受けて修了するもの」、専門士は「試験に受かるもの」という違いがあります。
- 取ると給料は上がりますか?
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上がるかどうかは職場によって差があります。資格手当がつく施設もあれば、つかない施設もあります。「取れば必ず上がる」とは言えないのが正直なところです。まずは自分の職場に資格手当の制度があるかを確認してみてください。
- 更新はどのくらいの頻度で必要ですか?
-
更新の目安は、おおむね5年ごととされています。更新には学会の活動への参加など、一定の要件を満たす必要があります。期間や条件、費用は変わることがあるので、取得を考える段階で公式の要項に目を通しておくと安心です。更新を忘れると失効することもあるため、時期の管理が大切です。
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