# 介護の夜勤手当の相場はいくら?安いときの確認ポイントと上げる方法
「同じ夜勤なのに、隣の施設は手当が2倍らしい」「この責任の重さで、1回この金額?」——夜勤明けの帰り道に、ふとそう感じたことはありませんか。
夕方から翌朝まで施設に泊まりこみ、利用者さんの命を預かる仕事です。その上乗せ分が数千円と聞くと、モヤモヤするのは自然なことだと思います。
この記事では、介護の夜勤手当の相場と給料のしくみを、やさしい言葉で解説します。読み終わるころには、「自分の手当は妥当か」「どう動くか」を数字で判断できるはずです。

うちの夜勤手当って、もしかして安い?相場が知りたい。

「夜勤手当」と「深夜割増」は別物なんです。ここを知らないと損をします。相場と、上げる方法までお伝えします。
結論:相場は1回数千円〜1万円弱。ただし「手当」と「割増」は別物
最初に、この記事の結論をまとめます。
- 介護の夜勤手当の相場は1回あたり数千円〜1万円弱。施設による差がとても大きい
- 夜勤手当の金額に法律の決まりはない。0円でも、それだけでは違法にならない
- ただし、22時〜翌5時の「深夜割増賃金」は法律上の義務。未払いなら問題
- 安いと感じたら、明細の見方と「実質時給」の計算で実態を確かめてから動く
なお、夜勤手当の平均額は、施設の種類や調査によって幅があります。
ここで大事なのが、「夜勤手当」と「深夜割増賃金」の区別です。名前は似ていても正体は別物で、知らないと求人選びで損をしがちです。次の章でくわしく見ていきましょう。
そもそも夜勤の仕事内容や1日の流れから知りたい方は、こちらが先です(介護の夜勤とは?仕事内容と流れ)。
最重要:「深夜割増賃金」と「夜勤手当」はまったくの別物
夜勤1回分の給料は「3階建て」でできている
まず、夜勤1回でもらえるお金の中身を、図解イメージで見てみます。
“`
【夜勤1回分の給料は3階建て】
③ 夜勤手当
└ 施設が独自に上乗せするお金(義務ではない・施設差が大きい)
────────────────
② 深夜割増賃金
└ 22時〜翌5時の分は時給25%増し(法律上の義務)
────────────────
① 働いた時間分の給料
└ ふだんの時給 × 実際に働いた時間
“`
①は、ふだんどおりの給料です。月給制の人は、月給の中に含まれています。問題は②と③の違いです。
② 深夜割増賃金:法律で決まった「25%増し」
深夜割増賃金とは、深夜に働いた分の給料を増やして払う法律のルールです。労働基準法(働く人を守るための法律)で決められています。
- 対象の時間帯:22時〜翌5時
- 増える割合:時給の25%以上(2026年度時点)
- 対象者:正社員・パート・派遣を問わず全員
たとえば時給1,200円の人が22時〜翌5時に働くと、その時間の時給は1,500円以上になります(1,200円×1.25)。
これは施設の善意ではなく、法律上の義務です。
③ 夜勤手当:施設が独自に決める上乗せ
一方、夜勤手当は、施設が独自に決めて上乗せするお金です。金額のルールは法律にありません。
だから「1回3,000円」の施設もあれば、「1回1万円」の施設もあります。
たとえば手当5,000円の施設から、8,000円の施設に移るとします。月4回の夜勤なら月1万2,000円、1年では14万4,000円の差です。同じ仕事内容でも、施設選びだけでこれだけ変わります。
「夜勤手当なし」でも違法とは限らない
ここまでの違いを表で整理します。
| ② 深夜割増賃金 | ③ 夜勤手当 | |
|---|---|---|
| 正体 | 法律で決まった上乗せ | 施設が独自に決めた上乗せ |
| 金額 | 22時〜翌5時の分が25%以上増し | 施設の自由(0円〜1万円弱) |
| 支払い | 全施設に義務 | 義務ではない |
| 施設ごとの差 | 計算ルールは全国共通 | とても大きい |
つまり「夜勤手当0円」でも、深夜割増さえ払われていれば違法ではありません。逆に、手当の中に割増を含めて表示する施設もあります。
自分の施設がどちらかは、「夜勤手当は深夜割増込みですか?別ですか?」の一言で確認できます。
介護の夜勤手当の相場:施設タイプと勤務形態で変わる
施設タイプ別の傾向
夜勤手当の金額には、施設タイプごとのおおまかな傾向があります。
| 施設タイプ | 手当の傾向 | 背景 |
|---|---|---|
| 特養(長く住む介護施設) | 比較的高め | 定員が多く夜勤の負担が重い。大きな法人の運営が多い |
| 老健(家に帰る前にリハビリをする施設) | 比較的高め | 医療的な対応が多く、夜勤の責任が重い |
| 有料老人ホーム | 施設差が大きい | 運営会社の方針しだい |
| グループホーム(認知症の方が少人数で暮らす施設)・小規模施設 | 控えめな傾向 | 少人数の運営で、人件費に回せる枠が小さくなりがち |
同じ市内の特養どうしでも、手当が数千円違うことはめずらしくありません。「タイプで決めつけず、1施設ずつ確認する」が鉄則です。
2交代と3交代では「手当の意味」が違う
夜勤の組み方には、大きく2つの形があります。介護施設では、16時間前後の長い夜勤がある2交代が主流です。
| 2交代 | 3交代 | |
|---|---|---|
| 勤務の分け方 | 日勤・夜勤の2つ | 日勤・準夜勤(夕方〜深夜)・深夜勤(深夜〜朝)の3つ |
| 夜勤1回の長さ | 拘束16時間前後が主流 | 8時間程度 |
| 手当の傾向 | 1回あたり高め | 1回あたり低め |
2交代の夜勤は「1回で2日分働く」イメージの長い勤務です。そのぶん、手当も高めに設定される傾向があります。
つまり、2交代の8,000円と3交代の3,000円を、金額だけで比べても意味がありません。比べるときは、あとで説明する「実質時給」に直すのが正解です。
給与明細はここを見る:損しやすい2つのパターン
「自分の手当は安いかも」と思ったら、まず給与明細の「支給」欄を見てください。「夜勤手当」「深夜勤務手当」「深夜割増」など、項目の名前は施設ごとにバラバラです。
チェックしたいのは、次の2つの「見え方のワナ」です。
パターン① 手当が安く見えて、実は基本給などに込み
明細の夜勤手当が少額でも、待遇が悪いとは限りません。次のような設計の施設があるからです。
- 深夜割増を、夜勤手当とは別の行で払っている(合計すると多い)
- 夜勤分を、あらかじめ基本給(手当を除いた給料の土台部分)に含めている
たとえばA施設は「夜勤手当8,000円(深夜割増込み)」だとします。B施設は「夜勤手当7,000円。割増の約2,000円は別払い」です。見た目はA施設が上ですが、上乗せの合計はB施設(約9,000円)が上回ります。
見抜き方は3つあります。
1. 賃金規程(給料のルールを決めた文書)で「割増込みか別か」を確認する
2. 夜勤が多い月と少ない月の明細を並べて、金額の変わり方を見る
3. わからなければ、事務担当にそのまま質問する
パターン② 手当は高いが、基本給が低い
逆に、「手当は高いのに基本給が低い」施設にも注意が必要です。多くの職場で、ボーナス(賞与)や退職金は「基本給×◯か月分」で計算されるからです。
たとえば、どちらも月給24万円のCさんとDさんがいるとします。
- Cさん:基本給16万円+手当8万円
- Dさん:基本給21万円+手当3万円
ボーナスが「基本給2か月分」なら、Cさんは32万円、Dさんは42万円です。同じ月給なのに、年収では10万円の差がつきます。昇給が「基本給の◯%」方式の職場でも、基本給が低い人は不利になりがちです。
自分の夜勤1回の「実質時給」を計算してみよう
自分の夜勤が安いかどうかは、「実質時給」に直すといちばんよくわかります。計算は3ステップ、スマホの電卓でできます。
計算式(3ステップ)
1. 自分の時給を出す:月の基本給 ÷ 月の所定労働時間(契約で決まった月の勤務時間)
2. 夜勤1回の収入を足す:時給×実働時間 + 時給×0.25×深夜帯の実働時間 + 夜勤手当
3. 実働時間で割る:実質時給 = 夜勤1回の収入 ÷ 実働時間
※実働時間とは、拘束時間から休憩・仮眠を引いた、実際に働く時間のことです。
計算例:時給1,100円・手当6,000円・16時間拘束の場合
前提は次のとおりとします。
- 基本給17万6,000円、月の所定労働時間160時間 → 時給1,100円
- 夜勤は16時〜翌8時(拘束16時間)。休憩・仮眠2時間で実働14時間
- 深夜帯(22時〜5時)は7時間。仮眠1時間を除き、実働6時間
| 項目 | 計算 | 金額 |
|---|---|---|
| ① 時間分の給料 | 1,100円×14時間 | 15,400円 |
| ② 深夜割増 | 1,100円×0.25×6時間 | 1,650円 |
| ③ 夜勤手当 | — | 6,000円 |
| 夜勤1回の収入 | ①+②+③ | 23,050円 |
実質時給は、23,050円÷14時間で約1,646円です。
もし手当が3,000円なら、合計は20,050円、実質時給は約1,432円まで下がります。手当の差が、そのまま時給の差になることがわかります。
ちなみに、拘束時間の16時間で割ると約1,441円です。仮眠中も施設を離れられないことを考えると、数字以上に重い働き方だといえます。
※割増の計算に入れる手当の範囲など、細かいルールは職場ごとに異なります。目安としてお使いください。
データで見る:夜勤手当の差は「年収の差」になる
厚生労働省の「介護従事者処遇状況等調査」によると、介護職員の平均給与は月およそ33.8万円です。これは手当やボーナス分を含んだ額面(税金などが引かれる前の金額)です。(出典:厚生労働省「令和6年度 介護従事者処遇状況等調査」)
見落とされがちなのは、この平均に夜勤手当も含まれている点です。回数と手当の額しだいで、実態は人によって大きく違います。
モデルケースで見てみましょう。同じ市内の特養で、月4回夜勤に入るEさんとFさんです。
- Eさん:手当4,000円 → 夜勤手当は月1万6,000円
- Fさん:手当8,000円 → 夜勤手当は月3万2,000円
差は月1万6,000円、1年で19万2,000円です。多くの人のスマホ代と電気代を合わせたくらいの金額が、施設の違いだけで毎月生まれています。
基本給やボーナスを含めた、給料全体の相場と上げ方は別記事で解説します。(介護職の給料の平均と上げ方
夜勤手当・夜勤収入を上げる4つの方法
実は、手当そのものを交渉で上げるのはむずかしいです。施設全体のルールなので、個人の希望では動きにくいからです。現実的な打ち手は次の4つです。
| 方法 | 収入アップの目安 | 手軽さ |
|---|---|---|
| ① 夜勤の回数を増やす | 月1万〜2万円ほど | ◎ 今の職場のまま |
| ② 手当の高い施設へ転職 | 年10万〜20万円ほども | △ 準備が必要 |
| ③ 夜勤専従になる | 1回2万円超の求人も | ○ 働き方が変わる |
| ④ 副業で夜勤の単発バイト | 1回2万円前後 | ○ 職場を変えずに可能 |
方法① 夜勤の回数を増やせないか相談する
いちばん手軽なのは、今の職場で夜勤を月1〜2回増やしてもらう方法です。たとえば手当6,000円の職場で月2回増えれば、手当だけで月1万2,000円のプラスです。深夜割増の分も合わせると、もう少し増えます。
伝え方はシンプルで大丈夫です。「収入を増やしたくて、夜勤をあと1、2回増やせませんか?」と相談してみましょう。夜勤の担い手が足りない職場では、歓迎されることも多い相談です。
ただし、夜勤は体への負担が大きい働き方です。回数を増やして体調を崩しては、元も子もありません。きつさへの対策は、こちらも参考にしてください(介護の夜勤がきついときの対処法)。
方法② 夜勤手当の高い施設へ転職する
手当の施設差は、個人の交渉ではまず埋まりません。差を埋めたいなら、「手当の高い施設へ移る」のが最短ルートです。
求人を比べるときは、次の3点をセットで見てください。
- 夜勤手当の金額(1回あたりいくらか)
- 深夜割増が「込み」か「別」か
- 基本給とのバランス(手当だけが高すぎないか)
この記事で紹介した「明細の2パターン」の知識は、求人選びでそのまま武器になります。
方法③ 夜勤専従になる(1回2万円超の世界)
夜勤専従とは、夜勤だけを専門に担当する働き方です。求人は1回2万〜2万8,000円程度が目安です。月10回入れば、それだけで月20万円を超える計算になります。
日勤と夜勤を行き来しないので、生活リズムを夜型に固定しやすい働き方です。一方で、日中の予定や家族との時間との両立は考えどころです。
向き不向きが分かれる働き方なので、まずは求人の条件を見比べてみてください。
方法④ 副業で夜勤の単発バイトをする
職場を変えたくない人には、休みの前日に1回だけ夜勤バイト、という手もあります。単発バイト(アプリで「この日だけ」を選んで働く1日単位の仕事)なら、夜勤1回2万円前後の案件が見つかります。
始める前に、就業規則(職場の働き方のルールをまとめた文書)で副業の可否を確認しましょう。また、夜勤明けに本業の日勤を入れる組み方は、絶対に避けてください。
副業の選び方や税金の知識は、こちらの記事でまとめています(介護職の副業おすすめ8選)。
要注意:求人票の「月給に夜勤手当◯回分込み」の読み方
転職や副業で求人票を見るとき、注意したい表記があります。たとえば「月給25万円(夜勤手当5回分・計3万円を含む)」という書き方です。
この場合、手当を引いた「素の月給」は22万円です。そして夜勤に5回入れなかった月は、その分だけ給料が下がります。月給を大きく見せるための、よくある書き方だと知っておいてください。
チェックポイントは3つです。
1. 手当を引いた「素の月給」を自分で計算する
2. 「1回いくら×何回分か」の記載がなければ、面接で確認する
3. 希望どおりの回数、実際に夜勤へ入れるのかも確認する
かりに「5回分込み」の職場で月3回しか入れなければ、収入は想定より月1万2,000円ほど下がります。数字の内訳を確認するクセをつけましょう。
よくある質問
まとめ:手当の「中身」がわかれば、次の一手が見えてくる
最後に、この記事の要点です。
- 介護の夜勤手当の相場は1回数千円〜1万円弱。施設差がとても大きい
- 深夜割増賃金(22時〜翌5時は25%増し)は法律の義務。夜勤手当は施設しだい
- 明細は「割増込みか別か」「基本給とのバランス」の2点をチェック
- 実質時給を計算すれば、自分の夜勤の”本当の値段”がわかる
- 上げる方法は、回数の相談・転職・夜勤専従・単発バイト副業の4つ
夜勤は、施設の夜を少ない人数で守る、責任の重い仕事です。その対価に納得できないまま、がまんし続ける必要はありません。
まずは今月の給与明細を開いて、実質時給の計算から始めてみてください。数字で現状が見えれば、あなたに合った次の一手も自然と見えてきます。
- 夜勤手当がない(0円)のは違法ではないですか?
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夜勤手当そのものは法律の義務ではないため、0円でも直ちに違法とはいえません。ただし、22時〜翌5時の深夜割増賃金(25%以上)が未払いなら、労働基準法違反の可能性があります。
まず明細を確認し、不明な点は事務担当に聞いてみてください。解決しないときは、労働基準監督署(働き方のルール違反を相談できる国の窓口)へ相談できます。
- パートや派遣でも、深夜割増や夜勤手当はもらえますか?
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深夜割増賃金は、雇用形態に関係なく全員がもらえます。時給で働く人なら、深夜帯は「時給×1.25」です。一方、夜勤手当は施設のルールしだいで、金額や対象に差があることもあります。賃金規程で確認してみてください。
- 仮眠時間にも給料は出ますか?
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完全に自由に休める「休憩」の扱いなら、無給が一般的です。ただし、コールが鳴ればすぐ対応する義務のある仮眠は、労働時間として扱われる場合があります。仮眠中もほぼ毎回対応している実態があるなら、一度職場に確認してみてください。
- 夜勤手当にも税金や社会保険料はかかりますか?
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かかります。夜勤手当も深夜割増も給料の一部なので、所得税や社会保険料の計算に含まれます。「手当1万円アップ=手取り1万円アップ」ではない点は、頭に入れておきましょう。
- 介護の夜勤とは?仕事内容と1日の流れ
- 介護の夜勤がきついときの対処法
- 介護職の給料の平均と上げ方(/kaigoshoku-kyuryo/
- 労働基準法 第37条(深夜割増賃金の定め)|e-Gov法令検索
- 厚生労働省「令和6年度 介護従事者処遇状況等調査」
- 日本医療労働組合連合会「介護施設夜勤実態調査」
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