MENU

褥瘡(床ずれ)の予防と観察|体位変換・スキンケアの基本

# 褥瘡(床ずれ)の予防と観察|体位変換・スキンケアの基本

「担当している利用者さんのお尻に、赤いところを見つけた」「これって床ずれ?わたしが何かした方がいいの?」——そんな不安から「褥瘡 予防」と検索して、このページにたどり着いた方も多いと思います。

その戸惑いは、とても自然なものです。褥瘡(じょくそう=床ずれ。皮膚が圧迫されて傷ができること)は、寝たきりに近い方や体を動かしにくい方に起こりやすく、介護の現場でいちばん身近なリスクのひとつだからです。

この記事では、褥瘡ができるしくみ、できやすい部位、そして毎日のケアでできる予防のポイントを、はじめての方にもわかるようにやさしく解説します。赤みに気づいたときの動き方や、記録の付け方も整理しました。読み終わるころには、「介護職として何をすればいいか」がはっきりするはずです。

悩む介護士

褥瘡(床ずれ)って、どうやったら防げるの?赤みを見つけたらどうすれば…?

ケアワーカーハブ編集部

予防の基本と観察のポイントを整理します。気づいたときの正しい動き方まで、やさしくお伝えしますね。

目次

結論:褥瘡は「予防」がいちばん。介護職の役割は観察と報告

最初に、いちばん大事なことをお伝えします。

褥瘡は、できてしまってから治すより、できないように防ぐことのほうがずっと大切です。 そして、その予防の主役は、毎日そばにいる介護職のあなたです。

ただし、ここははっきり線を引いておきます。次の3つを覚えてください。

  • 介護職の役割は「予防」と「観察」と「報告」の3つ。 毎日のケアと、皮膚を見て気づき、看護師へ伝えることです
  • 傷の処置・ステージ(段階)の判断・薬や治療は、看護師や医師の役割。 介護職が勝手に手を出してはいけません
  • 迷ったら、まず看護師へ報告する。 「これくらい大丈夫かな」と自分で判断しないことが、利用者さんを守ります

この3つを守れば、あなたのケアは「褥瘡を防ぐいちばんの力」になります。それでは、順番にくわしく見ていきましょう。

褥瘡(床ずれ)とは?なぜできるのか

褥瘡ってどんな状態のこと?

褥瘡とは、体の同じ場所が長い時間おされ続けて、その部分の皮膚や皮膚の下の組織が傷ついてしまった状態のことです。むかしから「床ずれ」と呼ばれてきました。

なぜ傷になるかというと、おされ続けた部分は血の流れが止まってしまうからです。血は、皮膚に酸素や栄養を運ぶ大切な流れです。

その流れが止まると、皮膚は栄養不足になり、赤くなったり、やがて傷になったりします。たとえば、正座を長く続けると足がしびれますよね。あれの、もっと強く長いものだと考えると想像しやすいです。

褥瘡ができる4つの原因

褥瘡は、ひとつの原因だけでできるのではありません。次の4つが重なると、リスクがぐっと高まります。

原因どういうこと?現場での例
圧迫同じ場所がおされ続ける長時間、同じ姿勢で寝ている
ずれ皮膚が引っぱられてよじれるベッドを起こしたとき体がずり下がる
湿潤(しつじゅん)皮膚がふやけて弱くなる汗・尿・便で皮膚がぬれたまま
低栄養(ていえいよう)栄養が足りず皮膚が弱る食事量が減っている・やせている

「圧迫」はいちばんわかりやすい原因です。でも、それだけではありません。

「ずれ」とは、皮膚が引っぱられてよじれる力のことです。ベッドの背もたれを起こしたとき、体がずるずると下にずれると、皮膚の中で組織がねじれて傷みます。

「湿潤」は、皮膚がぬれてふやけた状態です。ふやけた皮膚は、赤ちゃんの手が長くお風呂でしわしわになるように弱くなり、こすれただけで傷つきやすくなります。

「低栄養」は、栄養が足りていない状態のことです。皮膚も体の一部なので、栄養が足りないと弱く、こわれやすくなります。この4つを減らすことが、そのまま予防になります。

褥瘡ができやすい部位を知っておく

褥瘡は、体のどこにでもできるわけではありません。骨が出っぱっていて、寝たときに体重が集中する場所にできやすいです。

なぜなら、骨の出っぱりの上は皮膚と骨のあいだのクッション(脂肪や筋肉)がうすく、おされる力が皮膚に強くかかるからです。

姿勢によってできやすい場所が変わるので、表で整理します。

寝ている姿勢できやすい部位
あお向け仙骨(せんこつ=お尻の中央、背骨の下の骨)・かかと・後頭部・肩甲骨(けんこうこつ=背中の上の骨)
横向き腰の横の出っぱり・くるぶし・耳・肩
座っている尾てい骨・お尻の左右の骨

とくに気をつけたいのが仙骨(お尻の中央の骨)とかかとです。あお向けで長く寝ていると、この2か所に体重が集まりやすいからです。

見えにくい場所も要注意です。たとえば、かかとやくるぶし、耳のうしろは、ふだんの介助で見落としがちです。おむつ交換や更衣介助(着替えの介助)のときに、意識してのぞきこむクセをつけましょう。

着替えのときに全身の皮膚を見るコツは、更衣介助(着替え)の手順とコツの記事でもくわしく紹介しています。あわせて読んでみてください。

褥瘡を防ぐ予防の基本5つ

ここからが、この記事のいちばん大切な部分です。毎日のケアでできる予防を、5つに分けて説明します。むずかしいことはありません。「気づいて、こまめに動く」——これがすべての土台です。

① 体位変換:目安2時間ごと、マット使用で延びることも

体位変換(たいいへんかん)とは、寝ている姿勢を変えて、おされる場所を入れかえることです。予防の基本中の基本です。

同じ場所がおされ続けないように、あお向け・右向き・左向きと、体の向きを定期的に変えます。

間隔の目安は、2時間ごととよくいわれます。ただし、これは絶対のルールではありません。

  • 体圧分散マット(体の重さを分散させる特別なマット)を使っている場合は、間隔が延びることもあります。 マットが圧を逃がしてくれるからです
  • 逆に、皮膚が弱い方や赤みが出やすい方は、もっとこまめに変えることもあります

大切なのは、その方に合った間隔を、看護師やチームで決めて、みんなで守ることです。「うちのフロアは何時間ごと?」を必ず確認しましょう。

体の向きを変えるときは、皮膚を引きずらないことが大切です。引きずると「ずれ」の力がかかり、かえって褥瘡の原因になります。持ち上げるように動かすコツは、移乗介助のコツの記事も参考にしてください。

② 除圧・ポジショニング:クッションで体重を分散させる

除圧(じょあつ)とは、おされている場所の圧を逃がすことです。体位変換とセットで行います。

やり方はシンプルで、クッションや枕を使って、体重を広い面で受けとめるようにします。これをポジショニング(クッションなどで姿勢を安定させること)と呼びます。

  • 横向きのときは、背中にクッションを当てて姿勢を安定させる
  • かかとは、ふくらはぎの下に枕を入れて、かかとをふわっと浮かせる
  • 骨の出っぱりどうしが当たらないよう、ひざのあいだにクッションをはさむ

たとえば、かかとは小さくて骨が出ているぶん、圧が集中しやすい場所です。クッションで少し浮かせるだけで、リスクがぐっと下がります。

なお、円座(中央に穴があいたドーナツ型クッション)は、まわりが逆に強くおされてしまうことがあり、今はあまりすすめられません。使う道具に迷ったら、看護師に相談しましょう。

③ スキンケア:清潔と保湿で皮膚を守る

スキンケアの合言葉は「清潔」と「保湿(ほしつ)」です。皮膚を強く元気に保つことが、褥瘡予防につながります。

清潔は、汗・尿・便で皮膚がぬれたままにしないことです。前に説明した「湿潤」を防ぐためですね。

  • 汚れたらやさしく拭くか洗い、そのあとしっかり水分をおさえて乾かす
  • ゴシゴシこすらない。こすると皮膚が傷つきます
  • 尿や便で汚れやすい方は、排泄介助のたびに皮膚の様子も確認する

保湿は、乾いた皮膚に保湿剤をぬって、うるおいを保つことです。乾燥した皮膚は、ひび割れて傷つきやすくなるからです。

たとえば、冬に手が乾燥してあかぎれになるのと同じイメージです。保湿剤をぬるだけで、皮膚のバリアがぐっと強くなります。

なお、どの保湿剤を使うか、傷がある部分にぬっていいかは、看護師の指示に従ってください。自己判断で市販の薬をぬるのはやめましょう。

④ 栄養と水分:皮膚は「食べたもの」でできている

意外に思うかもしれませんが、栄養は褥瘡予防のとても大きな柱です。皮膚も体も、食べたものからつくられるからです。

栄養が足りない「低栄養」の状態だと、皮膚が弱くなり、褥瘡ができやすく、治りにくくなります。とくにたんぱく質(肉・魚・卵・大豆など、体をつくるもとになる栄養)が大切といわれます。

  • 食事の量が減っていないか、毎回さりげなく見る
  • 食べ残しが増えたら、それも大事な情報として記録・報告する
  • 水分が足りないと皮膚も乾くので、水分の声かけも忘れずに

食事の量や飲みこみの様子で気になることがあれば、食事介助のコツの記事も参考になります。「最近食べる量が減ったな」という気づきを、栄養士や看護師へつなぐことが予防になります。

⑤ こまめな観察:毎日の「見るクセ」がいちばんの予防

ここまでの4つを支えるのが、毎日の観察です。褥瘡は、早く気づけば気づくほど、悪くなる前に防げます。

観察のチャンスは、毎日のケアの中にたくさんあります。

  • 入浴やおむつ交換のとき、できやすい部位(仙骨・かかとなど)を意識して見る
  • 皮膚の色(赤み)、かたさ、あたたかさ、痛がっていないかを見る
  • 「昨日と違うところはないか」を意識する

たとえば、おむつ交換は1日に何度もあります。そのたびに仙骨をちらっと見るだけで、赤みにいち早く気づけます。「見るクセ」こそ、最強の予防です。

発赤(赤み)に気づいたら—まずやること・やらないこと

観察していて、発赤(はっせき=皮膚の赤み)を見つけたとします。ここが、いちばん大事な場面です。落ちついて、次のように動いてください。

いちばんの原則は、「介護職が勝手に処置しない。まず看護師へ報告する」です。

やることやらないこと
すぐ看護師へ報告する自分で薬や消毒液をぬる
赤みの場所・大きさ・時間を伝える「大丈夫だろう」と自己判断する
その部分をおさない体位に変える赤いところを強くマッサージする
記録に残す傷やステージを自分で判断する

赤みを見つけたら、まずその部分に体重がかからない姿勢にして、看護師へ伝えます。報告のときは、「どこに」「どのくらいの大きさで」「いつ気づいたか」を具体的に伝えると、看護師が判断しやすくなります。

ひとつ、観察のヒントがあります。赤みを指でそっと押してみて、指を離しても赤みが消えないときは、とくに早めに報告してください。ただし、それが褥瘡かどうかを判断するのは看護師や医師の役割です。あなたは「気づいて伝える」ところまでで十分です。

そして、絶対にやってはいけないのが、赤いところをマッサージすることです。よかれと思ってさすると、弱った皮膚をさらに傷めてしまうことがあります。「さすらず、おさず、報告する」と覚えておきましょう。

記録の付け方—「気づき」を次の人へつなぐ

観察して気づいたことは、必ず記録に残しましょう。記録は、あなたの気づきを、次の勤務の人や看護師へバトンのように渡す道具だからです。

たとえば、あなたが夕方に見つけた小さな赤みを記録に残せば、夜勤の人が「ここを気にして見よう」と動けます。記録がなければ、その気づきは消えてしまいます。

記録に書くとよいのは、次のようなことです。

  • どこに:仙骨・かかとなど、場所を具体的に
  • どんな様子か:赤み・大きさ・「押しても消えない」など見たまま
  • いつ気づいたか:時間
  • どう対応したか:体位を変えた・看護師へ報告した

ここで大切なのは、見たままの事実を書くことです。「褥瘡ができた」と自分で判断して書くのではなく、「仙骨に赤みあり」と観察した事実を書きます。判断は医療職の仕事だからです。

記録の具体的な書き方や、伝わる文章のコツは、介護記録の書き方の記事でくわしく解説しています。あわせて読むと、報告がぐっと上手になります。

介護職の役割の線引き—予防と観察・報告、判断と処置は医療職

ここで、最初にお伝えした「線引き」をもう一度、はっきりさせておきます。ここを間違えないことが、利用者さんの安全とあなた自身を守ります。

介護職の役割医療職(看護師・医師)の役割
体位変換・除圧・スキンケア(予防のケア)傷の処置・手当て
皮膚を見て気づく(観察)褥瘡かどうか・ステージ(段階)の判断
看護師へ伝える(報告)薬・治療の指示
記録に残す治療方針を決める

介護職の役割は、予防のケアと、観察と、報告と、記録です。ここに全力を注ぎましょう。

一方で、傷の処置、褥瘡かどうかやステージの判断、薬や治療は、すべて看護師や医師の役割です。ここに介護職が手を出してはいけません。

これは「介護職の力が足りない」という意味ではありません。役割が違うというだけです。予防のケアを毎日ていねいに続けられるのは、そばにいる介護職だけの大切な力です。

たとえば、あなたが「さすらず、おさず、すぐ報告」を徹底し、看護師が処置を担う——このチームプレーこそが、利用者さんの皮膚を守ります。迷ったら報告、が合言葉です。

現場のイメージ:小さな気づきが褥瘡を防いだケース

最後に、予防のイメージがわくように、モデルケース(想定の一例)を紹介します。

たとえば、あお向けで過ごす時間が長いBさん。担当のヘルパーが、朝のおむつ交換で仙骨に薄い赤みを見つけました。

このヘルパーは、赤みをさすらず、Bさんを横向きにして仙骨に体重がかからないようにし、すぐ看護師へ報告。「仙骨に赤み、押しても消えにくい、8時ごろ気づいた」と記録にも残しました。

看護師がすぐ確認し、体位変換の間隔を見直し、かかととひざにクッションを追加。数日、チーム全員でこまめに観察を続けたところ、赤みは大事にならずにすみました。

このケースでヘルパーがしたことは、特別な医療ではありません。「見て、さすらず、報告して、記録した」だけです。この当たり前の積み重ねが、いちばんの予防になります。あなたの毎日のケアにも、同じ力があります。

よくある質問

まとめ:毎日の「見て、動く」があなたの一番の力

最後に、この記事の要点をまとめます。

  • 褥瘡(床ずれ)は予防がいちばん大切。主役はそばにいる介護職
  • 予防の基本は体位変換(目安2時間ごと・マットで延長も)・除圧・スキンケア・栄養・観察の5つ
  • 赤みに気づいたらさすらず、おさず、すぐ看護師へ報告し、記録に残す
  • 傷の処置・ステージの判断・薬は看護師・医師の役割。介護職は予防と観察・報告

褥瘡の予防は、特別な医療の知識がなくてもできます。毎日のケアの中で「できやすい部位を見て、こまめに体位を変えて、気づいたら報告する」——この積み重ねが、利用者さんの皮膚を守るいちばんの力です。

「わたしの気づきが、褥瘡をひとつ防いだかもしれない」。そう思える瞬間は、介護の仕事の大きなやりがいのひとつです。今日のケアから、まずは「見るクセ」を始めてみてください。

体位変換は本当に2時間ごとにやらないといけませんか?

「2時間ごと」はあくまで目安です。体圧分散マット(体の重さを分散させるマット)を使っている場合は、間隔が延びることもあります。逆に皮膚が弱い方はもっとこまめにすることもあります。大切なのは、その方に合った間隔を看護師やチームで決めて、みんなで守ることです。まず自分のフロアのルールを確認しましょう。

赤みを見つけました。とりあえず薬をぬってもいいですか?

いいえ、介護職が自己判断で薬をぬるのはやめてください。傷の処置や薬は看護師・医師の役割です。まず、その部分に体重がかからない姿勢にして、すぐ看護師へ報告しましょう。あなたの仕事は「気づいて、伝えて、記録する」ことです。

褥瘡ができやすいのは、体のどこですか?

骨が出っぱっていて、寝たときに体重が集まる場所です。あお向けなら仙骨(お尻の中央の骨)・かかと・後頭部・肩甲骨、横向きなら腰の横やくるぶし・耳などです。とくに仙骨とかかとは要注意。おむつ交換や着替えのときに、意識してのぞきこむクセをつけましょう。

赤いところをマッサージして血行をよくした方がいいですか?

いいえ、赤みのある部分はマッサージしないでください。弱った皮膚をさらに傷めてしまうことがあります。「さすらず、おさず、報告する」が原則です。血行のためにできるのは、体位変換で圧を逃がすことと、看護師の指示にそったスキンケアです。

栄養と褥瘡は、そんなに関係があるのですか?

とても関係があります。皮膚も体も、食べたものからつくられるからです。栄養が足りない「低栄養」だと皮膚が弱くなり、褥瘡ができやすくなります。食事量が減っていないかを毎日さりげなく見て、気になったら記録・報告しましょう。それも立派な予防です。

よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!

この記事を書いた人

コメント

コメントする

CAPTCHA


目次