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介護の感染対策の基本|標準予防策と手洗い・手袋の使い方

# 介護の感染対策の基本|標準予防策と手洗い・手袋の使い方

「利用者さんに、もし何かをうつしてしまったらどうしよう」「自分が体調をくずして、他の職員に迷惑をかけたくない」——そんな不安から「介護 感染対策」と検索して、このページにたどり着いた方も多いと思います。

介護の現場では、体力の弱った高齢の方と、毎日とても近い距離で接します。だからこそ、感染を防ぐ基本の動作は、利用者さんと自分の両方を守る、とても大切な仕事です。

この記事では、感染対策の土台になる「標準予防策」から、手洗い・手袋・マスク・エプロンの使い方、嘔吐物の処理までを、はじめての方にもわかるようにやさしく解説します。読み終わるころには、毎日の動きの中で「どこに気をつければいいか」がはっきりするはずです。

なお、消毒薬の種類や濃度、処理のこまかい手順は、施設ごとにルールが決められています。この記事は基本の考え方をつかむためのものです。実際の場面では、必ずあなたの施設の手順書と、看護師さんの指示に従ってください。

悩む介護士

感染対策って何から気をつければ…。手洗いや手袋の使い方も自信がない。

ケアワーカーハブ編集部

標準予防策の考え方から、手洗い・手袋の使い方まで、基本を順番にお伝えしますね。

目次

まず結論:感染対策の合言葉は「持ち込まない・持ち出さない・広げない」

最初に、いちばん大事な要点をまとめます。感染対策は、むずかしい知識を暗記することではありません。次の3つを毎日くり返すことが土台です。

  • すべての人に同じ用心をする(標準予防策)。「この人は元気そうだから大丈夫」と相手で区別しない
  • こまめな手指衛生(手洗い・アルコール消毒)。ケアとケアの区切りで手をきれいにする
  • 手袋・マスク・エプロンを正しく使い、正しく外す。とくに「外す順番」を守る

そして、施設全体の目標が「持ち込まない・持ち出さない・広げない」という3つの合言葉です。外から菌やウイルスを持ち込まない、施設の外へ持ち出さない、施設の中で広げない。この3つを、一人ひとりの手洗いや手袋の動作が支えています。

迷ったときの答えは、いつも同じです。自分で判断せず、施設の手順と看護師さんの指示に従う。 これを覚えておけば大丈夫です。それでは、順番にくわしく見ていきましょう。

感染対策はなぜ大切か|利用者さんと自分の両方を守る

まず、「なぜここまで気をつけるのか」をおさえておきましょう。理由がわかると、毎日の動作の意味が腑に落ちます。

高齢の方は、若い人にくらべて、感染から体を守る力(抵抗力)が弱くなっていることが多いです。健康な人なら軽くすむものでも、体調をくずすと回復に時間がかかることがあります。

しかも介護施設では、多くの人が同じ建物の中で生活しています。食堂やお風呂、トイレを共有する場面も多いです。だからこそ、一人の不調がまわりへ広がりやすい環境だといえます。

そして忘れてはいけないのが、あなた自身を守るという視点です。感染対策は利用者さんのためだけのものではありません。自分の手をきれいに保つことは、あなたが家族や他の職員へ何かを運んでしまうのを防ぐことにもつながります。

  • 利用者さんを守る(抵抗力の弱い方への配慮)
  • 自分を守る(自分の健康と生活を守る)
  • 職場を守る(一人の不調を全体へ広げない)

つまり感染対策は、「だれかのための我慢」ではなく、その場にいる全員を守る仕組みです。この前向きな気持ちで取り組むと、続けやすくなります。

標準予防策(スタンダードプリコーション)とは

感染対策の土台になる考え方が「標準予防策」です。カタカナで「スタンダードプリコーション」とも呼ばれます。言葉はむずかしそうですが、中身はとてもシンプルです。

標準予防策とは、すべての人の血液・体液・分泌物などを「感染のもとになりうるもの」とみなして扱う考え方です。 ここでいう体液とは、汗を除いた、だ液・鼻水・尿・便・吐いたもの・傷口の液などを指します。

ポイントは「すべての人」という部分です。「この利用者さんは検査で問題なかったから素手でいい」とは考えません。相手が元気に見えても見えなくても、同じ用心をする。これが標準予防策です。

なぜ全員に同じ用心をするのでしょうか。理由は、目には見えないからです。菌やウイルスを持っているかどうかは、見た目ではわかりません。本人も気づいていないこともあります。

たとえば、風邪のひきはじめで本人も自覚がない、ということはよくあります。だから「相手で区別する」やり方だと、どうしても見落としが出ます。全員に同じ基準で接するほうが、結果としてみんなを守れるのです。

具体的には、次のような場面で手袋を使ったり、手を洗ったりします。

こんな場面基本の対応(例)
排泄の介助、おむつ交換手袋を使い、終わったら手洗い・消毒
口の中のケア、入れ歯の洗浄手袋を使い、必要に応じてマスク
吐いたもの・便・尿を扱う手袋・マスク・エプロンを使い、決められた方法で処理
傷口や皮膚のトラブルにふれる手袋を使い、看護師さんの指示に従う

くわしい排泄ケアの流れは 排泄介助の基本と手順 で、口の中のケアは 口腔ケアのやり方と注意点 でそれぞれ解説しています。感染対策とセットで読むと、動作の意味がよりわかります。

手指衛生:手洗いとアルコール消毒の基本

感染対策のなかで、いちばん基本で、いちばん効果が大きいのが「手指衛生」です。手指衛生とは、手洗いやアルコール消毒で手をきれいに保つことをまとめた呼び方です。

私たちの手は、一日の中でたくさんの場所や物にふれます。だから、手をきれいにするタイミングをおさえることが、感染対策の第一歩になります。

手をきれいにするタイミング

「いつ手をきれいにするか」の考え方はシンプルです。何かの作業の前後、区切りごとにきれいにする、と覚えてください。たとえば次のような場面です。

  • 利用者さんにふれる前と、ふれたあと
  • 食事の介助の前
  • 排泄の介助やおむつ交換のあと
  • 手袋を外したあと(手袋をしていても、外したら手洗い・消毒)
  • 自分の休憩に入る前、トイレのあと

「手袋をしていたから手はきれい」ではありません。手袋を外すときに手が汚れることもあります。手袋を外したら、必ず手指衛生とセットで覚えておきましょう。

流水での手洗いの基本

石けんと流れる水で洗う「流水手洗い」は、手洗いの基本です。とくに、目に見える汚れがあるときや、便・吐いたものなどを扱ったあとは、流水手洗いが基本になります。

洗うときは、洗い残しが出やすい場所を意識します。ここがつまずきポイントです。次の場所は忘れやすいので、ていねいに洗いましょう。

1. 指先と爪の間(物にいちばんふれる場所)

2. 指と指の間(水かきの部分)

3. 親指のつけね(にぎるように洗う)

4. 手首(そで口の近くまで)

洗ったあとは、共用のタオルではなく、ペーパータオルなどで水気をふき取るのが基本です。ぬれたままだと、かえって菌が移りやすくなることがあります。洗い方の細かい手順は施設で決まっているので、そのやり方に合わせてください。

アルコール消毒を使う場面

手に目立つ汚れがないときは、アルコールの手指消毒液を使う方法もあります。速乾性で、洗面所まで行かなくてもその場でできるのが利点です。

使うときは、手のひらにとって、指先・指の間・親指・手首まで、乾くまですり込むのが基本です。量が少ないと、すぐ乾いてしまい、行きわたりません。

ただし、注意もあります。便や吐いたものが関係する場面では、アルコール消毒だけでは足りないことがあります。 これは看護師さんや施設の手順で扱いが決められているので、必ずその指示に従ってください。自分の判断で「消毒でいいや」とすませないことが大切です。

手袋・マスク・エプロンの使い方と着脱の順番

血液や体液にふれる場面では、手袋・マスク・エプロンなどを使います。これらは「個人防護具」と呼ばれます。むずかしい言葉ですが、要は「自分と相手を守る道具」のことです。

大事なのは、ただ着ければいいわけではない、という点です。使い方と、外す順番を間違えると、かえって菌やウイルスを手や顔に広げてしまいます。ここをていねいに見ていきましょう。

手袋の使い方

手袋は、排泄の介助や口の中のケアなど、体液にふれる場面で使います。使うときの基本は次のとおりです。

  • 手袋をする前に、まず手をきれいにする
  • 一人のケアが終わったら、その都度はずす(使い回さない)
  • 利用者さんごとに新しいものに替える
  • 外したら、また手をきれいにする

やってしまいがちな失敗が、「手袋をしたまま、あちこちさわる」ことです。手袋をつけたままドアノブや自分のスマホにさわると、汚れをそこに広げてしまいます。手袋は「その作業だけのもの」と考えましょう。

マスクの使い方

マスクは、口や鼻を通したうつり方を防ぐために使います。せきやくしゃみのしぶきを、防ぐ・出さないための道具です。

  • 鼻から口、あごまでしっかり覆う
  • すき間ができないよう、鼻の形に合わせる
  • ケアの途中で表面をさわらない(表面は汚れていると考える)
  • 外すときはひも(耳の部分)を持って外す

「あごマスク」といって、あごにずらしたままにするのは避けましょう。ずらした面が首元の汚れにふれ、また口元へ戻すことになるからです。

エプロン(ガウン)の使い方

エプロンは、自分の服が血液や体液で汚れるのを防ぐために使います。おむつ交換や、吐いたものの処理などで使う場面があります。

汚れがつきやすい面(体の前側)を意識し、外すときはその汚れた面を内側に丸めるようにします。こうすると、汚れを広げずにすみます。細かい手順は施設で決まっているので、それに合わせてください。

いちばん大事なのは「外す順番」

個人防護具でいちばん間違えやすいのが、外すときです。ここを覚えておくと、ぐっと安全になります。

基本の考え方は、「汚れているものから外し、最後に手をきれいにする」です。手袋やエプロンの表面は、いちばん汚れている場所と考えます。

一般的な外し方の流れは、次のようになります(施設の手順が優先です)。

1. 手袋を外す(表面にふれないよう、裏返しにしながら)

2. 手指衛生(一度、手をきれいにする)

3. エプロン(ガウン)を外す(汚れた面を内側に丸める)

4. マスクを外す(ひもを持って、顔の前面にふれない)

5. 最後にもう一度、手指衛生

ポイントは、途中と最後に手をきれいにすることと、汚れた面を顔や体にふれさせないことです。順番は施設によって細かい違いがあるので、あなたの職場のルールを確認してください。

嘔吐物の処理の基本

利用者さんが吐いてしまったとき、あわてず対応できると安心です。吐いたものには、感染を広げるもとが含まれていることがあるからです。ここは施設の手順がとくに大切な場面です。

まず落ち着いて、基本の心がまえをおさえましょう。

  • 素手でさわらない(必ず手袋・マスク・エプロンを使う)
  • まわりの人を遠ざける(利用者さんを近づけない)
  • 窓を開けるなど、換気をする
  • 決められた道具と消毒薬で処理する(自己流でやらない)

多くの施設には、嘔吐物を処理するための道具をまとめた「処理キット」が用意されています。手袋・マスク・エプロン・ペーパー・ふくろ・消毒薬などがセットになったものです。まず、それがどこにあるかを確認しておきましょう。

処理のおおまかな流れは、次のイメージです。具体的な手順・消毒薬の種類や濃度は、必ず施設の手順書と看護師さんの指示に従ってください。 この記事では数値や濃度は示しません。

1. 手袋・マスク・エプロンを着ける

2. 吐いたものを、ペーパーなどで外側から中心へ集めてふき取る

3. 使ったペーパーやふくろは、決められた方法で口を閉じて捨てる

4. 汚れた場所を、施設で決められた消毒薬で消毒する

5. 個人防護具を正しい順番で外し、最後に手指衛生をする

大事なのは、「乾く前に、飛び散らせないように片づける」ことです。ゴシゴシこすると、かえって広がることがあります。外側からそっと中心へ集めるのが基本です。

処理が終わったあとは、看護師さんへ報告し、他の利用者さんや職員に体調の変化がないか、しばらく気を配ります。一人で抱え込まず、必ずチームで共有してください。

持ち込まない・持ち出さない・広げない

最後に、施設全体の合言葉「持ち込まない・持ち出さない・広げない」を、あなたの毎日の動作に当てはめてみましょう。むずかしいことではありません。

① 持ち込まない

外から菌やウイルスを施設に持ち込まないための行動です。

  • 出勤したら、まず手をきれいにする
  • 自分の体調がすぐれないときは、無理せず職場に相談する
  • 決められた検温や健康チェックを守る

② 持ち出さない

施設のものを外へ運び出さないための行動です。

  • 勤務中に使ったエプロンや手袋は、施設のルールで処理する
  • 手をきれいにしてから施設を出る
  • 汚れた物を持ち帰らない

③ 広げない

施設の中で、人から人へ広げないための行動です。

  • 利用者さんごとに手袋を替える、手をきれいにする
  • 共用の物にふれたら、こまめに手指衛生をする
  • 体調をくずした人が出たら、すぐ看護師さんへ報告する

服薬の介助など、複数の利用者さんに続けて行うケアでは、この「広げない」の意識がとくに大切です。介助の合間の手指衛生を忘れないようにしましょう。服薬の流れは 服薬介助の基本と注意点 でくわしく解説しています。

現場のリアル:迷ったら「施設の手順」と「看護師の指示」に従う

ここまで基本を紹介してきましたが、現場でいちばん大切なことを、あらためてお伝えします。それは、自分ひとりで判断しないということです。

感染対策のこまかいルールは、施設ごとに、そして状況ごとに違います。同じ「消毒」でも、使う薬や方法は施設で決められています。だから、正解は「教科書」ではなく「あなたの職場の手順書」の中にあります。

たとえば、こんな場面を思い浮かべてください。夜勤中に、利用者さんが吐いてしまった。周りに他の職員はいない。あせりますよね。

そんなときも、動きの順番は決まっています。まず自分の身を守る道具(手袋・マスク・エプロン)を着け、利用者さんの安全を確保し、看護師さん(オンコールを含む)へ連絡する。処理は、施設の手順書のとおりに進める。この「型」があるだけで、落ち着いて動けます。

新人のうちは、「こんなことを聞いたら迷惑かな」と遠慮しがちです。でも、感染対策では、確認することが正解です。わからないまま自己流でやるほうが、ずっと危険です。

  • 判断に迷ったら、看護師さん・リーダーに聞く
  • 手順書の場所を、最初の勤務で確認しておく
  • ヒヤリとしたことは、隠さず共有する(次の事故を防ぐため)

感染対策は、一人の完璧さではなく、チーム全員の当たり前の積み重ねで成り立っています。あなたが「基本を丁寧にやる」こと自体が、いちばんの貢献です。

よくある質問

まとめ:基本の積み重ねが、みんなを守る

最後に、この記事の要点をまとめます。

  • 感染対策の土台は標準予防策。すべての人に同じ用心をする
  • いちばん効果が大きいのは手指衛生。ケアの区切りごとに手をきれいにする
  • 手袋・マスク・エプロンは、使い方と外す順番が大事
  • 嘔吐物の処理は、素手でさわらず、施設の手順と看護師の指示に従う
  • 施設全体の合言葉は「持ち込まない・持ち出さない・広げない

感染対策は、特別な才能がいる仕事ではありません。手を洗う、手袋を替える、順番を守る——そんな小さな基本の積み重ねが、利用者さんとあなた自身、そして職場のみんなを守ります。

わからないことがあったら、遠慮せず看護師さんやリーダーに聞いてください。確認することは、迷惑ではなく、立派な感染対策の一つです。今日の一つひとつの動作を、自信を持って続けていきましょう。

手袋をしていれば、手洗いはしなくていいですか?

いいえ、手袋をしていても手指衛生は必要です。手袋を外すときに、手が汚れてしまうことがあるからです。「手袋を外したら手をきれいにする」を、セットで覚えてください。また、手袋は利用者さんごとに新しいものへ替えるのが基本です。

アルコール消毒と手洗いは、どう使い分ければいいですか?

目に見える汚れがあるときや、便・吐いたものを扱ったあとは、石けんと流れる水での手洗いが基本です。汚れが見えないときの区切りには、アルコール消毒を使う方法もあります。ただし場面ごとの扱いは施設で決められているので、その手順に従ってください。

個人防護具を外す順番が、いつもわからなくなります。

基本は「汚れているものから外し、最後に手をきれいにする」です。一般には、手袋→手指衛生→エプロン→マスク→手指衛生の流れがよく使われます。ただし施設によって細かい違いがあります。あなたの職場の手順書のとおりに、外す順番を確認してください。

利用者さんが吐いてしまいました。まず何をすればいいですか?

素手でさわらず、手袋・マスク・エプロンを着けるのが先です。次に周りの人を遠ざけ、換気をします。そのうえで、施設の処理キットと手順書に従って片づけ、看護師さんへ報告します。消毒薬の種類や濃度は自己判断せず、必ず施設の指示に従ってください。

自分が風邪気味のときは、出勤してもいいですか?

無理をせず、まず職場に相談してください。あなたの不調が、抵抗力の弱い利用者さんへ広がるおそれがあるからです。出勤の可否や、マスク着用などの対応は、施設のルールと上司の判断に従います。がまんして働くことが、良い介護とは限りません。

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