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介護のバイタル測定の基礎|正常値の目安と報告のポイント

# 介護のバイタル測定の基礎|正常値の目安と報告のポイント

「体温を測って記録するだけでも、これで合っているのかな」「血圧の数字が高かったとき、どう伝えればいいんだろう」——そんな不安を抱えたまま「介護 バイタル 測定」と検索して、このページを開いた方も多いと思います。

バイタル測定は、介護の毎日でいちばん多くくり返す仕事のひとつです。だからこそ「なんとなく」で続けてしまいがちですが、少しコツを知るだけで、数字の正確さも、看護師さんへの伝わりやすさもぐっと上がります。

この記事では、体温・脈拍・血圧・呼吸・SpO2という5つのバイタルの測り方と、正常値の一般的な目安を、はじめての方にもわかるように解説します。あわせて「いつもと違う」を見つけたときの報告のコツもまとめました。なお、数字の判断や病気の見きわけは看護師・医師の役割です。この記事は介護職が「正しく測って、正しく伝える」ためのものだと考えてください。

悩む介護士

バイタルの数値、どこからが異常なのか分からなくて不安。

ケアワーカーハブ編集部

正常値の目安と、異常を感じたときの動き方(看護師へつなぐ)を整理しますね。

目次

介護職のバイタル測定は「正しく測って、正しく伝える」まで

はじめに、いちばん大切なことをお伝えします。

介護職のバイタル測定の役割は、正確に測ることと、気づいたことを看護師・医師に正しく伝えることの2つです。「この数字は病気かどうか」を判断するのは介護職の仕事ではありません。それは看護師や医師(医療の資格を持つ人)の役割です。

これは冷たい線引きではなく、あなたを守るためのルールでもあります。医療的な判断は資格を持つ人がおこなうと決まっているからこそ、介護職は「測定と報告」に集中できます。

覚えておきたい要点は次の3つです。

  • 正常値は「目安」であって、正解ではない。 平熱や血圧は、もともと人によって違います。だいじなのは「その人のいつもと比べてどうか」です
  • 異常かどうかの判断はしない。 「いつもと違う」と感じたら、自分で様子を見すぎず、早めに看護師へ伝えます
  • 測る・記録する・伝えるはワンセット。 測った数字は記録に残し、申し送りで次の人へつなぎます

この3つを土台に、5つのバイタルを順番に見ていきましょう。

そもそもバイタルサインとは?5つの項目と正常値の目安

バイタルサインとは、その人が元気かどうか、体に変化がないかを表すサインのことです。「バイタル(vital)」は英語で「生命の」という意味です。介護の現場では、主に次の5つを測ります。

項目何を見る?一般的な目安(成人)
体温体の熱36〜37度台
脈拍心臓が打つ回数1分間に60〜100回
血圧血管にかかる圧力上100〜139/下60〜89くらい
呼吸息をする回数1分間に12〜20回
SpO2血液中の酸素の量96〜99%

この数字は、あくまで一般的な目安です。持病や年齢によって「その人にとってのふつうの値」は変わります。目標となる値は医師が決めます。ここからは、5つを一つずつ見ていきましょう。

体温:わきの下で測るのが基本

体温は、体の中で熱がうまくつくられ、うまく逃がせているかを表します。介護の現場では、わきの下(腋窩:えきか)に体温計をはさんで測るのが基本です。

一般的な平熱の目安は36〜37度台です。ただし平熱には個人差があります。たとえば、ふだんが35度台の方もいれば、37度に近い方もいます。だから「◯度だから熱がある」と一律には言えません。

多くの施設では、37.5度以上を発熱の一つの目安にしています。とはいえ、その人の平熱より1度ちかく高いときは、37.5度に届かなくても「いつもと違う」サインとして気にかけます。

測るときのポイントです。

  • わきの汗はふいてから測る(汗があると低めに出やすい)
  • 体温計の先を、わきの中心に下から押し当てる
  • 測っている間は腕をしっかり閉じておく

脈拍:手首で1分間の回数を数える

脈拍は、心臓が血液を送り出すたびに血管が伝える「ドクン」の回数です。手首の親指側に指をあてると、脈をふれられます。人差し指・中指・薬指の3本を軽くあてて数えます。

一般的な目安は1分間に60〜100回です。数えるときは、15秒間の回数を4倍する方法もあります。ただし、リズムが乱れている人は、1分間しっかり数えると安心です。

回数だけでなく、「リズムが規則正しいか」「強さはどうか」も感じ取れると、報告の質が上がります。ただし、それが何を意味するかの判断は看護師・医師にゆだねます。

血圧:上と下の2つの数字を見る

血圧は、血液が血管の壁を押す力のことです。「上」と「下」の2つの数字で表します。上は心臓が縮んで血液を押し出すときの圧力(収縮期血圧)、下は心臓がゆるむときの圧力(拡張期血圧)です。

一般的には、上が100〜139、下が60〜89くらいが一つの目安とされます。ただし、高血圧の持病がある方などは、医師が「この人はこのくらいで管理する」という目標を決めています。だから、数字だけで良し悪しを決めつけないことが大切です。

測るときのコツです。

  • 上腕(二の腕)で測るタイプが値は安定しやすい
  • カフ(腕に巻く帯)の位置は、心臓と同じ高さに合わせる
  • 測る前は数分間、安静にしてもらう
  • 会話しながら測らない(値が変わりやすい)

呼吸:気づかれないように数える

呼吸は、1分間に何回息をしているかを数えます。胸やおなかが上下する動きを見て、「吸って・吐いて」で1回と数えます。一般的な目安は1分間に12〜20回です。

コツは、本人に気づかれないように数えることです。「呼吸を測りますね」と言うと、無意識に呼吸が変わってしまう人が多いからです。たとえば、脈を測るふりをしながら、そのまま胸の動きを見ると自然に数えられます。

回数だけでなく、「浅い・深い」「苦しそうにしていないか」も観察のポイントです。

SpO2:指にはさんで酸素の量を測る

SpO2(エスピーオーツー)とは、血液中にどれくらい酸素が含まれているかを表す数字です。パルスオキシメーターという、指先にはさむ小さな機械で測ります。むずかしい言い方では、経皮的動脈血酸素飽和度といいます。

一般的な目安は96〜99%です。数字が低いほど、体に酸素が行きわたりにくい状態を表します。ただし、何%だから大丈夫・危険という判断は医療職がおこないます。介護職は、正しく測って、いつもと違えば伝えることに徹します。

うまく測れないときは、次のような原因が多いです。

  • 指先が冷たい(少し温めると測りやすい)
  • マニキュアや付け爪がある(測る指を変える)
  • 手が動いている(安静にしてもらう)

バイタル測定を正確におこなう手順とコツ

数字を正しく測るには、「測り方」だけでなく「測る条件」をそろえることが大切です。ここでは、5つに共通する基本の流れと、つまずきやすいポイントを紹介します。

測定の基本ステップ

1. 手を洗い、必要なら手袋をつける(感染対策)

2. 「これから熱と血圧を測りますね」と声をかける

3. 本人が落ち着いた状態か確認する(直前に動いていないか)

4. 決められた順番で測る(施設のやり方に合わせる)

5. その場で数字をメモする(あとで書こうとすると忘れやすい)

6. 使った機械を消毒し、次に備える

測り終えたら、「ありがとうございます」と一声かけると、利用者さんも安心します。バイタル測定は、その人にふれる時間でもあります。

「いつもと同じ条件」で測る

体温や血圧は、そのときの状況で数字が変わります。だから、できるだけ同じ条件で測ると、変化に気づきやすくなります。

  • 食事・入浴・運動の直後は避ける(少し時間を置く)
  • 毎回だいたい同じ時間帯に測る
  • 血圧は毎回、同じ側の腕で測る

たとえば、入浴の直後は体温も脈拍も高めに出ます。それを知らずに「熱が上がった」と報告すると、本当の変化を見逃す原因になります。

つまずきやすいポイント

  • 機械の電池切れ・故障:低めの変な値が出たら、まず機械を疑う
  • 測り直しの判断:明らかにおかしい数字は、あわてず1回だけ測り直す
  • 急いで測る:安静が足りないと高めに出やすい

数字に迷ったら、自己判断で「たぶん大丈夫」と流さないことが大切です。測り直しても気になるときは、そのまま看護師に伝えれば大丈夫です。

「いつもと違う」を見つけたら:報告のコツ

バイタル測定でいちばん大切なのは、測ったあとの「伝え方」です。ここは介護職の腕の見せどころでもあります。

事実を、そのまま、早めに伝える

報告のコツは、自分の解釈を足さず、事実をそのまま伝えることです。たとえば「熱っぽいです」ではなく、「◯時に測って、体温が37.8度でした。平熱は36.5度くらいの方です」と伝えます。

伝えるとよい情報は、次のとおりです。

  • いつ測ったか(時刻)
  • 数字(できれば普段の値もそえる)
  • 本人の様子(顔色・食欲・受け答え)
  • いつから気づいたか(タイミング)

「顔色が青白い」「呼びかけへの返事がいつもより弱い」といった、数字以外の気づきも立派な情報です。

すぐに伝えるサインを知っておく

判断は医療職の役割ですが、「これはすぐ呼んだほうがいい」という緊急のサインは、介護職も知っておくと安心です。次のような様子があれば、様子を見ずに、すぐ看護師・医師(夜間なら当直やオンコール)へ連絡します。

  • 意識がぼんやりしている、呼びかけに反応が薄い
  • 息が苦しそう、呼吸が速い・浅い
  • 唇や爪が青紫色になっている(チアノーゼ:酸素が足りないサイン)
  • 冷や汗をかいている、ぐったりしている

これらは「測った数字」よりも「本人の様子」で気づくことが多いサインです。数字が目安の範囲でも、様子がおかしければ、ためらわず伝えます。

モデルケース:伝え方ひとつで動きが変わる

たとえば、夜勤中にBさん(80代)の体温が37.9度だったとします。

  • 伝わりにくい報告:「Bさん、熱っぽいです。どうしましょう」
  • 伝わりやすい報告:「23時のバイタルで、Bさんの体温が37.9度でした。平熱は36.4度くらいの方です。顔が少し赤く、夕食はほぼ食べていません。呼びかけへの返事は普段どおりです」

後者なら、看護師はすぐに状況を思い描け、次の指示を出しやすくなります。報告の質は、その人が受けるケアの早さに直結します。

記録と申し送りにつなげる

測った数字と気づいたことは、必ず記録に残します。口で伝えただけでは、時間がたつと忘れられたり、次の勤務者に伝わらなかったりするからです。

記録の書き方に迷うときは、介護記録の書き方申し送りのコツもあわせて読んでみてください。夜勤帯の記録の残し方は、夜勤の記録の例文が参考になります。

よくある質問

まとめ:測る・気づく・伝えるが介護職の力

最後に、この記事の要点をまとめます。

  • 介護職の役割は、正しく測ることと正しく伝えること。病気かどうかの判断は看護師・医師にゆだねる
  • 正常値は、あくまで目安。「その人のいつもと比べてどうか」がいちばん大切
  • 5つのバイタル(体温・脈拍・血圧・呼吸・SpO2)は、同じ条件で測ると変化に気づきやすい
  • 報告は事実を・早めに・様子もそえて。測った数字は、記録と申し送りにつなぐ

バイタル測定は、毎日くり返す地味な仕事に見えるかもしれません。でも、あなたの「いつもと違うな」という気づきが、利用者さんの体調の変化にいち早く手を差しのべるきっかけになります。測る・気づく・伝える——この3つは、介護職だからこそ発揮できる大切な力です。

介護職がバイタルを測るのは、医療行為になりませんか?

体温・脈拍・血圧・SpO2の測定は、原則として医療行為にはあたらないとされています(自動の血圧計や電子体温計を使う場合など)。だから介護職も日常的に測っています。ただし、判断や薬に関わる部分は医療職の役割です。迷ったら、施設のルールと看護師に確認しましょう。

正常値の範囲に入っていれば、報告しなくて大丈夫ですか?

いいえ。範囲に入っていても、「その人のいつもと違う」ときは報告する価値があります。たとえば、ふだん血圧が高めの方が急に下がったときは、範囲内でも変化のサインかもしれません。大切なのは、目安の数字より「その人比」です。

数字がうまく測れないときは、どうすればいいですか?

まずは機械や測り方を見直します。体温計の位置、腕の高さ、指の冷えなどが原因のことが多いです。1回測り直しても不自然な数字が続くときは、無理に「正しい数字」を出そうとせず、状況ごと看護師に伝えれば大丈夫です。

忙しくて、ゆっくり測る時間がありません。コツはありますか?

測る順番を決めておくと速くなります。たとえば、体温計をはさんでいる間に脈と呼吸を数える、という具合です。ただし、速さより正確さが優先です。あわてて測って測り直すほうが、結局は時間がかかります。

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