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老健(介護老人保健施設)の仕事内容・給料・特養との違い

# 老健(介護老人保健施設)の仕事内容・給料・特養との違い

「老健って、特養やデイとどう違うんだろう」「リハビリの施設って聞いたけど、介護職は何をするの?」——転職先に老健を考えて「老健 仕事内容」と検索し、このページにたどり着いた方も多いと思います。

老健(ろうけん)は、名前を聞いたことはあっても、中の仕事のイメージがつかみにくい施設です。特養(とくよう)のように「長く住む場所」とも、病院とも少し違う、独特の役割を持っているからです。

この記事では、老健の仕事内容を「在宅復帰という目標」「リハビリ職との連携」「医療的ケアの多さ」という3つの特徴から、はじめての方でもわかるようにやさしく解説します。1日の流れ、給料の傾向、特養との違い(比較表つき)、向いている人まで一気にまとめました。読み終わるころには、「自分に老健が合っているか」がはっきりするはずです。

悩む介護士

老健と特養って何が違うの?どっちが働きやすい?

ケアワーカーハブ編集部

在宅復帰やリハビリ連携など、老健ならではの特徴を、特養との違いつきで解説します。

目次

結論:老健は「家に帰るためのリハビリ施設」。介護職は生活とリハをつなぐ役

最初に結論からお伝えします。

老健(介護老人保健施設)は、入院を終えた高齢者が、家に帰るためのリハビリと療養をする施設です。 特養が「ずっと暮らす生活の場」なのに対して、老健は「病院と自宅の間にある、一時的な通過点」だと考えるとわかりやすいです。

そのため、老健で働く介護職の仕事には、次の3つの特徴があります。

  • 「在宅復帰」という目標がある。 利用者さんが家に帰れるよう、できることを増やすかかわり方をします
  • リハビリ職や看護師との連携が濃い。 医師が常にいる施設なので、チームで働く場面が多いです
  • 医療的ケアが特養より少し多め。 たんの吸引や経管栄養など、医療寄りのケアに触れる機会があります

ひとことで言えば、老健の介護職は「生活のお世話」と「リハビリ・医療」の橋渡し役です。身体介護をしっかりやりつつ、専門職と力を合わせて利用者さんの回復を支える——それが老健の仕事の中心になります。それでは、順番にくわしく見ていきましょう。

老健の仕事内容:3つの特徴でわかる

老健の介護職の仕事は、基本の身体介護(食事・入浴・排せつ・移動の手助け)は他の施設と同じです。そのうえで、老健ならではの色がつきます。ここでは3つの特徴に分けて説明します。

① 「在宅復帰」を目指すかかわり方をする

老健のいちばんの特徴は、在宅復帰(ざいたくふっき)=利用者さんが自分の家に帰ることを目標にしている点です。国の制度でも、老健は「家に帰るためのリハビリをする施設」と位置づけられています。

そのため、利用者さんの入所期間は特養のように何年もではなく、おおむね3〜6か月ごとに「家に帰れそうか」を見直すのが基本です(施設や状態によって幅があります)。

この目標があると、介護職のかかわり方も少し変わります。たとえば——

  • 全部を手伝うのではなく、「自分でできそうなところは見守る」姿勢を大事にする
  • 「トイレまで自分で歩く練習」など、日常の動作そのものをリハビリの一部として支える
  • 「家に帰ったらどんな生活になるか」を家族やケアマネ(介護の計画を立てる専門職)と一緒に考える

「できないことを手伝う」だけでなく「できることを増やす」——ここが、生活の場である特養との大きな違いです。利用者さんが元気になって家に帰る姿を見送れるのは、老健ならではのやりがいです。

② リハビリ職・看護師とチームで働く

老健には、リハビリ職が常にいます。リハビリ職とは、体の機能の回復を助ける専門職のことで、主に次の3つがあります。

専門職読み方・略称主な役割
理学療法士りがくりょうほうし(PT)立つ・歩くなど基本動作の回復を支える
作業療法士さぎょうりょうほうし(OT)食事・着替えなど生活動作の回復を支える
言語聴覚士げんごちょうかくし(ST)話す・飲み込む力の回復を支える

介護職は、このリハビリ職と情報を共有しながら働きます。たとえば「リハビリでは歩けているのに、フロアでは車いすを使いたがる」といった気づきを伝えると、リハビリの計画に反映されます。逆に、リハビリ職から「この方は左足に力が入りにくいので、移動時はこう支えて」と教わることもあります。

さらに老健は、医師が常勤(フルタイムでいること)で配置されているのが決まりです。看護師の数も特養より手厚い傾向があります。そのため、体調の変化に気づいたときにすぐ相談できる安心感があります。ひとりで抱え込まず、チームで利用者さんを支える——これが老健の働き方です。

③ 医療的ケアが特養より少し多め

老健は医療寄りの施設なので、医療的ケアに触れる機会が特養より多めです。医療的ケアとは、医療に近いお世話のことで、たとえば次のようなものがあります。

  • たんの吸引: のどにたまったたんを、機械で吸い取るケア
  • 経管栄養(けいかんえいよう): 口から食べられない方に、チューブで栄養を送るケア
  • 服薬の管理: たくさんの薬を、決まった時間に正しく飲んでもらうサポート

こうしたケアは基本的に看護師が行いますが、喀痰吸引(かくたんきゅういん)等研修という所定の研修を修了した介護職は、たんの吸引や経管栄養の一部を担えます。老健で働くと、この研修を勧められたり、実際に手技に触れたりする機会が出てきます。医療的ケアに興味がある方には、スキルを伸ばせる環境です。

「医療は苦手…」と身構える必要はありません。看護師がすぐそばにいて、わからないことはその場で聞ける体制がある施設が多いです。むしろ「医療の知識が自然と身につく」のは、将来のキャリアにとって大きな財産になります。

> たんの吸引や経管栄養の資格について知りたい方は、喀痰吸引等研修とは?取り方をやさしく解説もあわせて読んでみてください。

老健の1日の流れ(日勤・夜勤の例)

「実際、どんな1日なの?」というイメージがわくように、日勤と夜勤のモデルスケジュールを紹介します。施設によって時間や内容は変わるので、あくまで一例として見てください。

日勤の1日(例)

時間主な仕事
8:30出勤・夜勤者からの申し送り(利用者さんの様子を引き継ぐ)
9:00起床・整容の介助、水分補給
10:00リハビリの送り出し、フロアでの体操・レク
11:30昼食の準備・食事介助・口腔ケア(歯みがき)
13:00排せつ介助、記録、休憩
14:00入浴介助、リハビリ職との情報共有
16:00おやつ・水分補給、レクや個別のかかわり
17:00夕方の申し送り、日勤の記録をまとめる
17:30退勤

日勤は、食事・入浴・排せつという「生活の3本柱」の介助が中心です。そこにリハビリの送り出しや、リハビリ職とのやりとりが加わるのが老健らしいところです。

夜勤の1日(例)

時間主な仕事
16:30出勤・日勤者からの申し送り
18:00夕食の準備・食事介助・服薬確認
20:00就寝の準備、口腔ケア、排せつ介助
21:00消灯・見回り開始
22:00〜翌5:00定期的な巡回、体位交換、ナースコール対応、記録
6:00起床介助の準備
7:00朝食の準備・食事介助
9:30日勤者へ申し送り・退勤

夜勤は、多くの施設で2交代制(日勤と夜勤の2つに分ける働き方)が中心で、1回16時間ほどの長い勤務になります。老健は看護師が夜間も常駐している施設が多く、急な体調変化のときに相談しやすいのは、介護職にとって心強いポイントです。なお、深夜22時から翌朝5時までの時間帯は、労働基準法で給料が25%以上増える決まりになっています。

老健で働く介護職の給料の傾向

気になる給料の話をします。まず前提として、介護職の給料は施設の種類・地域・経験・資格によって幅があるため、「老健なら必ずいくら」と断言はできません。そのうえで、傾向をお伝えします。

厚生労働省の調査によると、月給で働く介護職員の平均給与は、手当やボーナスを含めた額面で月およそ33.8万円、手取りにするとおよそ27万円前後です。資格を取ると上がりやすく、介護福祉士は約35万円、ケアマネジャーは約38.8万円という数字になっています。(出典:厚生労働省「令和6年度 介護従事者処遇状況等調査」

老健は、夜勤があること、医療的ケアなど専門性が求められることから、夜勤のないデイサービスなどと比べると月収は高めになりやすい傾向があります。特養とは同じくらい、施設によっては少し高め、というイメージです。

給料を上げたいなら、次のような手が効果的です。

  • 夜勤に入る: 夜勤手当は1回あたり数千円〜1万円ほどが目安。回数が積み重なると差が出ます
  • 資格を取る: 介護福祉士や喀痰吸引等研修は、手当や基本給に反映されやすい
  • 処遇改善加算のある職場を選ぶ: 処遇改善加算(介護で働く人の給料を上げるために国が事業所へお金を上乗せする仕組み)が手当として支給される施設を選ぶ

給料の全体像は、介護職の給料はいくら?手取り・年収をくわしく解説でまとめています。あわせて読むと、自分の給料が相場とズレていないか確かめられます。

老健と特養の違い(比較表でわかる)

老健を検討する方が必ず気になるのが、「特養(特別養護老人ホーム)と何が違うの?」という点です。名前も役割も似ているようで、実は目的がまったく違います。表で整理します。

項目老健(介護老人保健施設)特養(特別養護老人ホーム)
目的家に帰るためのリハビリ・療養長く暮らす生活の場(終の住まい)
入所期間原則3〜6か月ごとに見直し長期(数年〜)
主な対象退院後などでリハビリが必要な方原則、要介護3以上の方
医師常勤で配置(毎日いる)非常勤(週に数回)が多い
看護・リハビリ職手厚い(リハ職が常にいる)看護は少なめ、リハ職がいない所も
介護職の仕事生活介助+リハ補助・医療的ケア生活介助・身体介護が中心
夜勤ありあり
給料の傾向特養と同程度〜やや高め傾向比較的高め傾向
看取り基本は自宅・病院へ移る施設での看取りが増えている

ざっくり言うと、「回復を支えて送り出す老健」か、「最後まで寄り添う特養」か、という違いです。

  • 利用者さんが元気になって家に帰る姿を見たい、医療やリハビリの知識を身につけたい → 老健が向いています
  • ひとりの利用者さんと長く関係を築き、その人らしい暮らしをじっくり支えたい → 特養が向いています

どちらが良い・悪いではなく、大事にしたいことの違いです。特養の仕事内容が気になる方は、特養の仕事内容・給料・きつさを解説もあわせて読んで、両方を比べてみてください。

老健の仕事が向いている人・向いていない人

ここまでの特徴をふまえて、老健に向いているのはどんな人かを整理します。あくまで傾向なので、「当てはまらない=ダメ」ではありません。参考程度に見てください。

向いている人

  • 利用者さんの「できた!」を一緒に喜べる人: 回復を支える仕事なので、小さな変化に気づいて喜べる人は毎日が充実します
  • チームで働くのが好きな人: 医師・看護師・リハビリ職と連携するので、報告・相談が苦にならない人に合っています
  • 医療やリハビリに興味がある人: 医療的ケアに触れられるので、知識を広げたい人には最高の環境です
  • 将来ケアマネや相談員を目指したい人: 多職種と働く経験は、キャリアアップの土台になります

向いていないかもしれない人

  • ひとりの利用者さんと何年もかけて関係を築きたい人: 老健は入れ替わりがあるので、長い関係を望むなら特養のほうが合うかもしれません
  • 医療的な場面が極端に苦手な人: とはいえ看護師のサポートがあるので、「慣れれば大丈夫」という人が大半です

「自分は介護職に向いているのかな」と根っこから迷っている方は、介護職に向いてる人・向いてない人の特徴も読んでみてください。施設の種類を選ぶ前の、大きなヒントになります。

現場のリアル:数字で見る老健という選択

「実際、老健を選ぶと生活はどう変わるの?」というイメージがわくように、公的な数字をもとにモデルケースを考えてみます。

介護の仕事は、有効求人倍率(働きたい人1人に対して求人が何件あるかの数字)が全産業の平均より大幅に高い、いわゆる売り手市場です。老健も例外ではなく、経験者はもちろん、未経験でも歓迎する求人が多くあります。「選べる立場」であることは、施設選びで妥協しないための強みになります。

モデルケース: デイサービスで働くBさん(32歳・夜勤なしで手取り21万円)が、老健の常勤に転職したケースを考えます。老健では月4回の夜勤に入り、働きながら喀痰吸引等研修を修了しました。夜勤手当と資格手当が加わり、手取りはおよそ26万円前後に。金額だけでなく、「医療の知識がつく」「リハビリ職と働いて視野が広がった」という手ごたえが、Bさんにとっては大きな収穫でした。

もちろん、夜勤が増えれば体の負担も増えます。大事なのは「稼ぎ」と「体力」のバランスを、自分の生活に合わせて決めることです。老健は夜勤ありの施設なので、体調管理を含めて、無理のない働き方ができるかを面接で確認しておくと安心です。

よくある質問

まとめ:老健は「回復を支えるチーム医療」に近い介護

最後に、この記事の要点をまとめます。

  • 老健は「家に帰るためのリハビリ施設」。介護職は生活のお世話とリハ・医療の橋渡し役
  • 特徴は在宅復帰の目標・リハビリ職との連携・医療的ケアの多さの3つ
  • 給料は夜勤ありでデイより高め、特養と同程度〜やや高めの傾向
  • 特養との違いは「回復を支えて送り出す」か「最後まで寄り添う」か
  • 向いているのは回復を一緒に喜べる人・チームで働くのが好きな人・医療に興味がある人

老健は、介護・医療・リハビリを一度に学べる、成長できる職場です。利用者さんが元気になって家に帰る姿を見送れるのは、他の施設ではなかなか味わえないやりがいです。「医療的ケアは大変そう」と不安な方も、まずは施設を見学して、職員がどんな表情で働いているかを見てみてください。あなたに合う一歩が、きっと見つかります。

老健は未経験・無資格でも働けますか?

はい、多くの老健で未経験・無資格からのスタートが可能です。入職後に初任者研修(介護の入門資格。130時間の講座で取る「介護のスタートライン」)の取得を支援してくれる施設もあります。ただし、医療的ケアが多めなので、「わからないことをその場で質問できる職場か」を面接で確かめておくと安心です。

老健の仕事は「きつい」と聞きますが本当ですか?

夜勤があること、医療的ケアがあることから、体力・気力を使う場面はあります。ただ、老健は医師・看護師・リハビリ職がそろっているぶん、ひとりで抱え込まずに相談できる環境でもあります。「きつさ」の中身は施設によって差が大きいので、見学のときに職員の表情や人員の余裕を見ておくことをおすすめします。

老健と特養、給料が高いのはどちらですか?

どちらも夜勤があるため、給料の水準は近いです。傾向としては特養が比較的高めと言われますが、老健も医療的ケアの専門性がある分、施設によっては同程度〜やや高めになります。数万円の差は施設の処遇改善加算や地域差のほうが大きいので、「老健だから低い/高い」と決めつけず、求人ごとに比べるのが正解です。

老健で働くと、どんな資格やキャリアにつながりますか?

医療的ケアに触れられるので、喀痰吸引等研修が身近です。多職種と働く経験は、将来ケアマネ(介護の計画を立てる専門職)や生活相談員(施設の相談・調整役)を目指すときの土台にもなります。「介護+医療+リハビリ」を一度に学べるのは、老健ならではの強みです。

在宅復帰が目標だと、利用者さんとのお別れがつらくないですか?

たしかに、なじんだ利用者さんが家に帰るときは、少しさみしさもあります。ただ、それは「元気になって帰れる」という喜ばしいお別れです。看取りとは違う前向きな見送りができるのは、老健で働く人が口をそろえて挙げるやりがいのひとつです。

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